Ver.IIの仕様解説

Ver.IIの仕様解説

 

2021年12月に発表したレトロアクティブのメーターキットですが、発売から2年を目前に新たな仕様をラインナップに追加しました(今回の新仕様をver.IIと命名するにあたり、これまでの製品を便宜上ver.Iとします)。

 

開発までの経緯や意匠に込めた想い、またver.Iと差別化したポイントなどを以下に解説します。これからレトロアクティブを導入しようという諸兄はもちろん、ver.Iをご使用中の方にもぜひご一読いただきたいと思います。


開発の経緯

ほぼ毎日乗っている私のジムニー。「今週はプレミアムブラック」とか「今月はセンターパネルだけブライトシルバーに」と、気分転換の名の下にver.Iのあらゆる組み合わせを楽しみ尽くしました。開発に2年以上を費やしたver.Iの意匠は今でもレトロアクティブの決定版と自負していますが、「全く違う切り口から新規意匠を作ってみたい」という衝動に駆られて開発したのがこのver.IIです。


公道を走っていると「さりげないドレスアップでクールにキメているジムニー」をよく見かけます。ゴテゴテのオフロード仕様・キャンパー仕様も良いですが、できるだけノーマル状態を維持しつつ、それでいて各所に「ちょっとしたこだわり」が込められているジムニーは多く、それらはとても魅力的に映ります。そんなさりげないライトチューンでジムニーを楽しんでいるオーナーさんたちの心にも刺さる意匠とは何か?という点に想いを巡らせているうち、今回のver.IIの仕様が浮かんできました。


仕様の決定

前回のver.Iでは、シルバーとブラックを用意しました。高級時計の盤面にも採用される精緻なスピン加工の魅力を異なった色味で伝えたかった故の2色展開でしたが、今回のver.IIではシルバーと黒を上手く融合させつつ、照明のオレンジをより際立たせるような配慮を盛り込んでいます。具体的には、ver.Iよりもさらに光沢が強く金属質感が高い部材を採用してなおかつブラックの展開は無し、文字やスケール(目盛)を鮮烈に浮かび上がらせるためにブラックのスクリーン(背景色)とする、という2点です。この2点を叶えるために、数字とスケールを金属に直接に施すというver.Iでの手法ではなく、金属部と数字/スケールのシルク印刷部を分離するというハイブリッド構造としました。


意匠へのこだわり

ver.Iのような「金属への直接加工」の場合と違い、シルク印刷ではより緻密でシャープなフォントとスケールを配すことができ、これは美しく鮮烈な夜間イルミネーションの実現に大きく寄与します。さらに数字フォントの配置は従来の正体配置ではなく放射状配置とすることで「コックピット感」と「ノスタルジック感」を表現しています。

 

ちなみに放射状配置の場合、後端部分のフォント(例:JB74の180km部分)がほぼ逆さまになることから、旧車のメーターでは後端部分のみ数字を上下反転させる手法がありました(下写真3枚目参照)。私も長年メーターをデザインしてきて、過去の作品でそれを採り入れることで旧車風の味わいを表現したこともありましたが、面白みがある一方で「意匠的・視覚的違和感」は否めず、今回この反転手法は採用していません。

 


小さなこだわり・大きな反響

ほんの遊び心として採用した警告灯のジムニー車体型アイコン。ver.Iの発売以来、ジムニー系の有名Youtuberさんの大絶賛もあって「このジムニー型アイコンがレトロアクティブを選んだ最大の理由」とまで仰ってくださるユーザーさんも多く、デザインした私としては「想定外の大反響」だったと言えます。実車のシルエットを踏襲しつつも、警告灯の「あの小さなスペースでも映えるようなデフォルメ」を施して描いたこのアイコン達には相当な時間を費やした(遊び心のつもりだったのに)のでとても報われた気持ちです。そこで、無意味に点灯させて楽しむというオーナーさん向けに、今回のver.IIでは警告灯の発光範囲ギリギリまで大型化しておきました(下の画像の中から、どの部分の警告灯がジムニー化しているか探してみてください)。ちなみにレトロアクティブの最大の特徴のひとつであるセンターパネル(パイロットランプ群)の意匠はver.Iからそのまま引き継いでおりますのでご安心ください。


選ぶ製品に悩んだら

これまで何度も言及してきましたが、いかにも「アフターパーツに変えました!」というデザインや仕様ではなく「あたかも純正のような溶け込み具合」を念頭に設計しています。今回のver.IIも同様で、メーターだけが浮いてしまうことがないような控えめな意匠でありながら、まるで純正オプションで設定されているかのようなフィッティングと高い質感を極限まで追い求めました。外装パーツのような「他者へのアピール要素」は皆無ですが、ステアリングを握るドライバーだけが浸ることのできる耽美な世界観をこの狭い空間に凝縮させたつもりです。ですので、ver.Iかver.IIか、あるいはブラックかシルバーか等で迷ったらどうか「直感」を大切にしてください。時間をかけて練り上げられたレトロアクティブの意匠は、どれを選んでも幸せになれるようになっています。コンマ数mm単位の攻防で卒倒しそうになりながらデザイン作業を闘った張本人である私が保証します。